厚生労働省が公表した令和8年度診療報酬改定の個別改定項目をもとに、医療従事者の処遇改善に関わる変更点を整理しました。
なぜ今、処遇改善が必要なのか
近年の物価高騰・人手不足の深刻化を受け、今回の改定では「賃上げ」と「働き方改革」が大きな柱となっています。看護職員や病院薬剤師をはじめとする医療関係職種の人材確保を確実にするため、診療報酬上の評価が大幅に見直されました。
1. ベースアップ評価料の大幅引き上げ
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の変更
職員の賃金改善に向けた体制を整備している医療機関に対して算定できる「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」が、以下のとおり大幅に引き上げられます。
| 区分 | 現行 | 改定後 |
|---|---|---|
| 初診時 | 6点 | 17点 |
| 再診時等 | 2点 | 4点 |
さらに、継続して賃上げに取り組んでいる医療機関には、より高い点数が設定されます(初診時23点、再診時6点)。
歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)も同様に引き上げ
歯科についても同様の仕組みで、初診時10点→21点、再診時2点→4点に引き上げられます。
令和9年6月以降はさらに2倍に
今回の点数はあくまでも第1段階であり、令和9年6月以降は所定点数の200%(2倍)が算定される段階的な仕組みとなっています。継続賃上げ加算についても同様に2段階で引き上げが行われます。
2. 対象職員の範囲が拡大
これまでベースアップ評価料の対象は「主として医療に従事する職員(医師・歯科医師を除く)」とされていましたが、今回の改定では「当該保険医療機関において勤務する職員」へと対象範囲が広がりました。
これにより、これまで対象外だった事務職員など、より幅広い職員の賃上げ原資として活用できるようになります。
3. 継続的な賃上げの実績で算定点数に差がつく仕組みへ
今回の改定の大きな特徴として、継続して賃上げに取り組んでいる医療機関とそれ以外の医療機関で、算定できる点数に差をつける仕組みが導入されました。
継続的に賃上げを行っていることを施設基準として届け出た医療機関は、通常のベースアップ評価料よりも高い点数が算定できます(例:外来初診時 17点→23点)。一度きりの賃上げではなく、持続的な処遇改善への取り組みが診療報酬上で評価される形となっています。
まとめ:今回の処遇改善のポイント
今回の診療報酬改定における処遇改善の特徴を整理すると、以下の3点に集約されます。
① ベースアップ評価料の大幅増額 → 看護職員・薬剤師・コメディカルなど幅広い職種の賃上げを後押し
② 継続賃上げ実績による点数の差別化 → 持続的な処遇改善を評価する仕組みへ
③ 2段階の段階的引き上げ → 令和8年度の点数からさらに令和9年6月以降は2倍に拡充
医療機関としては、施設基準の届け出や賃上げ計画の策定が必要となりますので、早めの準備が求められます。
本記事は厚生労働省「個別改定項目について」(令和8年2月13日中医協総-1)をもとに作成しています。改定内容は今後変更される可能性もありますので、最新情報は必ず厚生労働省の公式発表をご確認ください。
